希望を持てない人による事件

希望を持てない人による事件が今年度しばしば起きている。下記考察。

・日本では標準とされる人生も出る以外があまり評価されていない。
 例えば雇用形態も本来は「雇用期間の定めのない」雇用を「正」社員と表現。
 それが「正」しいものと認識している。言葉の力は強い。

・標準以外の人を評価する思想がない。人は誰でも価値があるとの思想はない。

・例えば町を歩いても人が皆、「仕事は正社員」「夫婦と子供」「持ち家で生活」
と幸せな標準形と見える。

・この環境ではそこから外れた人は自己肯定感が持てない。日々、街を歩いても非難されていると感じる。日々の生活が永遠に続く監獄となる。

・自分の居場所、自分を受け入れてくれる場所がない。でもその場はなかなか得られない。何等か人がつながるにはハードルがある。
何らかのつながりを得るには「物語(ストーリー)」の共有が必要。
 家族であれば結婚、子供誕生、旅行、子供の成長など。
 会社であれば共通の上司、大きな課題対応や問題発生など。
 宗教であれば聖書。
 流転する人生だと何等か固まった土台や人的関係を構築しずらい。

・かつ、衰退しつつあり、かつ流動性の低い日本では、いったん外れるとこれから良くなる希望がない。肯定感も持てない。

・1970~83年を「就職氷河期世代」とする。
1990年(平成2年)ころから非正規雇用比率が増えている。
男性の場合35~44歳、45~54歳の区分で1990年(平成2年)から
2016年(平成28年)の間に6%非正規雇用が増えている。

・ある程度はもともと非正規雇用形態を望む素質の人もいると推測し
不本意に非正規雇用となっている割合を6%とする。
凡そこの世代の一歳当たりの人口は150~200万人。
簡便のために160万人とする。
160万人×0.5(男性)×6%=4.8万人、約5万人。

・2019年現在では、1970~83年生まれは49歳~36歳。
不本意正規雇用者は14歳分として70万人

・「40歳から64歳までの「ひきこもり」の人の数が、
 推計61万人に上ることが内閣府が初めて行った調査で明らかになりました。」
 とのこと。男女比率は不明であるが合計で61万人。ざっくり半分として男性は30万人。

・70万人+30万人=100万人

・良くない憶測ではあるが、残念な事件はこれから増加するのではないかと考える。
自分より若い世代は人手不足もあり正規雇用。自身は状況が好転する
希望が持てない。だからと言って体が動かないほど年寄りでもない。
初老が目前となるころに事件を起こすとすると、該当年齢層(現在49歳~36歳、そのうち40歳以上)は、
ちょうどこれから増加することとなる。


この状況について何が言えるのか?
・まずはこのような事件がどのような年齢層によって行われるのかを見る必要がある。

・安い労働力を確保することで延命してきた日本的な企業、経営、社会が行き詰まりつつある。
 安くしたことで人的資本が劣化し、社会リスクの増大、生産力の低下を招いている。

・氷河期時代の世代の生活苦などは本人の責任ばかりではない。個々人については努力不足という見方もあるが、
ある一定の人数分しか正社員の椅子がなく、社会全体としては非正規を求めた。
しかも中国、韓国と主力産業が競合して低価格化したこと、起業等の新陳代謝が乏しいことが背景。
これは今も変わらない。よって今後次第に悪化する。

作成:2019年7月28日


参照

そこそこで生活する「独身・非正規・低所得」が突然陥る“お金がない”…生活保護が破綻
https://biz-journal.jp/2019/07/post_109512.html

年齢階級別非正規雇用者の割合の推移
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h29/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-05.html

大阪府 非正規雇用者比率の推移
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1418/00071393/2-6_12.pdf

推計61万人! 中高年のひきこもり
https://www3.nhk.or.jp/news/special/hikikomori/articles/crisis_09.html

日本企業の競争力
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je13/pdf/p02011.pdf

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45777880W9A600C1DTA000/

日本企業の稼ぐ力は高まったのか 企業収益の国際比較に見る日本企業の変化と課題
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp171002.pdf

下がる日本の上場企業の労働生産性とその要因
https://blogs.itmedia.co.jp/business20/2019/04/post_7584.html

以上