雑感~電気自動車
雑感~電気自動車
米国がバイデン政権となり、環境対策に本腰を入れる様子。このためか電気自動車の流れが加速している。問題は日本が電気自動車においても競争優位を確保できるのか。
私はスマートフォンと同じ経緯をたどると想定。
- スローガンだけは新しい潮流に乗ろうとするが、海外比でそもそもの研究開発費などのリソースが不足、複数の方向性に分散(取捨選択できない)により失敗。
- 社会的にも新規導入のリスク(自動運転時の人身事故などへの過剰反応)回避傾向で時流を逸する。
- 米中欧は政府がバックアップ。日本は政府支援なし。
- 完成車メーカーは高付加価値部分を狙うことができず、しかしスローガンは勇ましく既存延長の製造部分の強化を図る。本来であれば徐々に撤退するべき時に。結局、パナソニックのプラズマディスプレイやシャープの液晶と同じ運命をたどる。
- 完成車メーカーは政府主導で再編、大規模リストラを行い、どうにか一部の製造ラインは生存する程度。輸入品が増加。製造コスト及び距離を考慮して中国製。
- 部品メーカーは完成車メーカーとの比較であるが幾分はダメージが少ない。しかし、要リストラ。低収益化。
- 自動車産業が基幹産業ではなくなり、日本の衰退が加速。電機、自動車の部品について多少の存在感を示す程度。資源もない。一人当たり所得としては韓国・マレーシアより下、タイと同等、インドネシア・フィリピン・ミャンマーよりはましな程度。
以下の記事が参考となる。
電気自動車で「インターネット革命」は起こるのか 池田 信夫
http://agora-web.jp/archives/2049458.html
要点は、、、
・ 部品点数が多いので、部品会社を系列化し交渉問題を最小化
・ 電機産業はいつまでも「すり合わせ」に拘り敗北
・ 日系メーカーがEVを作っても、長期的関係による「すり合わせ」がない世界では敗北
・ 自動車産業は労働人口の8%を雇用する製造業の中核。それが出て行くと国内には製造業の生産拠点がなくなり、日本人はコロナで衰退する対人サービス業で食っていくしかない。
≪考察≫
・ PHVは政策的判断でいずれ他国では除外される。EVが遅かれ早かれ主流となる。そのスピードは電池能力の向上度合い。
・ EVとなると日本の自動車産業は電機産業同様に衰退、完全に消えはしないが競争力は失われる。
・ 日本は30年前から輸出品=生産性の高い産業が変わっていない。電機が衰退し、更に自動車が衰退すると、派生的に工作機械なども衰退する。いよいよ付加価値のある、競争力のある産業が無くなる。一部の職人技の必要な分野、航空機エンジンブレードの加工などの暗黙知、半導体製造用の材料などの目立たないが長期的な開発が必要となる分野しか残らない。これでは大規模な人員の給与は稼げない。
・ EV向けの部品も残ると期待したいが、売り方が変わる。すり合わせ不要の数値化できる価格、性能判断となる。電機と違い重量があるので輸送コストがあるが、ある程度は世界最安値調達が進む。日本製造では採算が合わない。
以上